ターミナル

きっと遠くない先、天命に背いて今生を出ていくあなたに、何もできないままでいる。 私の存在が、あなたに良い影響をもたらすことはこれまでもこれからも無いし、できるだけ活動の痕跡を消して行こうとしていることに逆らって、残存の文章や音声を手元に保存…

無法

何度もスマートフォンを布団に投げつけてあ゙〜〜〜〜!!!! と叫ぶような紆余曲折を経て、去年、固有名詞とカラオケに居合わせる機会があった。 固有名詞はカラオケはおろか、校内の合唱コンクールの場でさえ歌うことをいやがるような人だったので、そして…

夢の上

エシレのフィナンシェを買って好きな人に会いに行った。 夢に見た通りの表情で現前する本人のまなざしで、諦めたまま返信を待った日々や、勝手に声や面影や文体をあなたに重ねてきた大勢の皆さんが跡形もなく崩れて消えて、ただ2023年の私たちが再会できた事…

観測者

好きな人(固有名詞)のことを野生動物だと思っている節がある。 私の意思や言葉の通じない、自由で気高い生き物。 男性としてや人間としてというよりも、その美しい儚い命の部分に、どうしようもなく惹かれている。幼い頃に偶然見たイルカに魅せられて、好き…

随に

ブログを開設してから4年の月日が経って、当初から考えるとずいぶん遠いところに来たものだと思う。 私は身体各所の医療脱毛を済ませたし、もうあるはずがなかった固有名詞とのエピソードも奇跡みたいに更新された。 それでも変わらないこともあって、私がま…

フロンティア

エシレのフィナンシェを買って好きな人の部屋に行きたい。 固有名詞と会って別れて数日経つと毎回、ついこの前の記憶が夢の中のことだったような気がしてくる。ぼんやりと、でも無視できない確かさで、もう会うことは無いんだな、と思う。 向こうから、あな…

ボーナスステージ

なんとなくわかってしまった。 同じステージには上がれない。 ここはボーナスステージだ。 結果や選択がメインの人生に繋がることはない。 もう会うことは無いと思っていました、と固有名詞に言ったら、「私は、貴女とはずっと続くと思っていますけど」と即…

熱以外のすべて

知らないていの新しい車を目指して歩く私に、固有名詞が運転席から手を挙げて合図してきた。 10年来の前提が崩れていく。 向こうからの働きかけなんて、起きないはずのものだったから。 固有名詞は、聖堂の十字架のように、私の心の壁の内側の高いところにあ…

終わんない愛で

年明けの仕事が始まってしばらくは、意味も無くOneNoteを立ち上げて「恋で死ぬ」とか入力したり、定期的に机に突っ伏して天板の冷たさを頬で感じたりと、巨大感情長文をまいにち更新できそうなほど日々狂っていたが、先の見えない絶望感と仕事の忙しさで何も…

帰る場所

前回の記事に情けない追記をした。チケットは公開時点で手元になかった。 夢中になれる趣味があって、気が合う仲間がいて、生きていてくださって本当によかった。もう死んで欲しいなんて思わない。どうか健やかにいてほしい。 あなたがくれた熱と褒めてくれ…

チケット

あまり自分からばかり相手に会う約束をとりつけたがるのはよくないと思っていて、一度自分から連絡したら、その次は相手からの連絡がない限り会いたいと言わないようにしている。 連絡が来なかったら自分はその人の中でその程度の存在なんだなと、身の程を弁…

オムファタル

世界を終わらせる男がいるかと言われればそれは間違いなく存在していて、現に私の世界は完全に破滅してしまった。 会社を通しての出会いだったが、関わらないほうが自分の心の平穏のために良さそうだ、と存在を知ってから一年近くは距離を置いていた。 深入…

旅行の持ち物(自分用・逐次追記)

◎小さい鞄の中身 携帯電話 財布 チケット イヤホン 本 ティッシュ 龍角散 口紅 腕時計 薬 リップクリーム ハンドクリーム ◎リュックサックの中身 メイクポーチ 眼鏡 マスク ペンケース モバイルバッテリー カメラ 歯ブラシ 櫛 アクセサリーケース ウエットテ…

成人向けコミックを読めなくなった話

大学2年の頃から成人向けコミック誌を購読していた。 快楽天BEASTと、幾花にいろ先生のファンになってからは快楽天本誌の、月に2冊。単行本も出版社や掲載誌に拘らず40冊ほど買った。 私には自分の身体と結び付いた性欲がなかった。純粋な興味と、女の子が…

大切な人

知り合いの歌のステージに足を運んだ折、 MCで「大切な人を思い浮かべて聴いてくださいね」的な一言があった。 一瞬、誰のことを考えたらいいのかわからなかった。しばらく考えても、候補は挙がれど特定の一人を脳裏に呼び出すことができなかった。 誰のこと…

備忘ふたつ

1 飛行機に乗った。 飛行機に乗ったのは高校の修学旅行ぶりで、私はまたひとつ好きな人のいた記憶を好きな人のいない記憶で上塗りしてしまったのだった。 離陸の際、もう飛ぶのだろうと思ったところからさらに出力が上がって、けっこうな圧力で背もたれに体…

夢-2

また夢の話。夢のない話でもある それなりに好意を向けているひととちょっとそういう雰囲気になりかけて、いいところで目が覚める。もしくは結局未遂で終わる。という夢を見ることがしばしばある。 ほっそりした眼鏡の先輩を押し倒して、チューしたろ! その…

好きな人の夢を見ることがある。 好きな人の夢に好きな人は出てこない。大きい流れ星が消えないうちに好きな人の名前を10回言えたとか、友人からの一斉送信のメールの宛先に私とあの人が一緒にいて許されたような気持ちになるとか、用もないけど3年3組の前の…

思い出してもどうにもならないこと

年が明けたらもう2年前のことになってしまう。こんな調子で好きな人のことを考えているうちにすぐ50年とか60年とか経って死ぬんだろうな、という自覚がある。 好きな人も、ほんとうは私のことそんなに嫌いじゃなかったんじゃないか と思うことがある。一緒に…

翌檜

何だったのか未だにわからなくて、永遠に確かめもできないことがある。 好きな人の家のソファーに沈んで、半身に温もりを感じながらぎこちなく座っていた。テレビでは卓球の試合の録画か何かが流れていた。一度立ったらもう同じ場所に戻れない気がして、ただ…

たけのこの里

好きな人が好きだった。どうにもならない恋だった。そもそも彼を知ったきっかけは、彼が私の友人を恋うていることをその友人から聞いたことだった。その気持ちは少なくとも高校を卒業するまで変わらないようだったので、私は負け戦に励んでいたのだ。しかし…

抵抗

抵抗された方が燃える、と聞く。恥じらって隠してるのとかかわいい、みたいな。 嫌がっている人間を無理矢理どうにかする行為には賛同できない。私なりにこの言葉は、自分に向いた相手の行動に何らかのリアクションを取ることは大切だ くらいの意味で捉えて…

永久欠番

現実世界において、私と好きな人のエピソードがこれ以上増えることはない。ここに書けるのは昔あったことと、私の心象と、それだけだ。ただの反省部屋なのだ。 好きな人(固有名詞)を好きな人と呼んでしまう。どうにもならないってわかり続けていても。ほかに…

願望

好きな人が学校を休んだときにいつもする想像があった。 彼が亡くなっている想像だ。 狭めの玄関に色んな種類の靴が溢れて、彼は廊下を左に入った和室に寝かされている。小柄なお母さんが背中を丸めて弔問客に挨拶をしている。独特な家の匂いと香の匂いが混…

靴擦れ

靴擦れが治ってきた。これしか形見がないのに。 昨日のこと、が先週のことになって先月のことになって去年の今頃は、三年前の今頃は、ってどんどん遠ざかっていくのが怖い。私にとってはまだ昨日のことなのに、好きな人はとっくに彼の日常に戻って私の知らな…

生傷

あなたのことも、たまには思い出していたんですよ。ん……? と思った。 大学の近くにあなたの名字と同じ地名があって、そこの体育館をサークル活動で使うことがあったんです。その時くらい。こちとらまだ生傷だぞ……!!好きな人は片時も私の思い出なんかにな…

犬の十戒

映画やドラマの喧嘩のシーンが怖い。キツい声や言葉で相手を威圧するような場面があると心がざわざわしてまともに受け入れられなくなってしまう。 幸いにしていまの生活環境では粗暴な言葉遣いをする人に接する機会が少ない。またすぐ手や足が出るような人も…

宝箱

好きな人との思い出を箱いっぱいに持っている。私の部屋にはダイヤル式のロッカーがあって、その最奥にガムテープで巻かれて、お菓子の箱が眠っている。好きな人との思い出の品、と言ったら普通はプレゼントや揃いのアクセサリーなんかがそうなのだろうか。 …

よかったこと

性について、周りが極端なのでふつうがわからないところがある。 家庭(とくに母親)はえっちなことなんてとんでもない! アニメもマンガもいけません。そのうち保健の授業で習うから。恥ずかしいことです。といった感じだった。 あとは「チューするとき鼻って…

青い光

好きな人と会って、解散した。 事の発端は、長年使っていたガラパゴスケータイを解約することになったところである。連絡を取り合っていたメールアドレスが失われるため、 その前にもう一度会えたら、とメールを送った。 会えない触れない存在から人間に引き…