夢-2

また夢の話。夢のない話でもある

 

それなりに好意を向けているひととちょっとそういう雰囲気になりかけて、いいところで目が覚める。もしくは結局未遂で終わる。という夢を見ることがしばしばある。 

ほっそりした眼鏡の先輩を押し倒して、チューしたろ! その前にリップクリーム塗っとくか…とメイクポーチをガサガサしている間に目が覚めたりとか、いい雰囲気になるも最近全然無駄毛の処理をしていないことに思い当たり不本意ながら健全解散したりとか、好きな人に会う日に予定外に生理が来たりとか、そんなのばっかりである。

悔しさと喪失感で一日中ぽかんとしてしまう。夢ってある程度深層心理や欲求を反映したものじゃない? どうして どうしてこんな中途半端な… と悶々と引きずってしまう。

 

しかし自分のヘタレ童貞ムーブから考えるに、このクソダサい結末こそが真に私の望む在り方 なのかもしれない。

可能性はあったけれど大切な人を汚さずに済んだ、自分の手を汚すことも絶望的に関係を壊すこともなかった、と目覚めてほっとする部分があるのだ。夢のことでさえ、自分という解釈違いの異物が大切な人に触れることに嫌悪感を抱いてしまう。ごく稀にいっそどうにかなる夢を見たあとは、未遂の夢の後とは桁違いにショックを受けて、当分関係者と目を合わせられなくなる。

 

永遠にどうにもならずに一人で悶々とする思い出 の方が、最後までどうにかなって完全に終わってしまうより価値あるもの。そのような気持ちの反映だ。

セックスしないと出られない部屋から出る気もなく現状に甘んじて妄想で満足している今がそのまま現れた夢だろう。

クソダサくて気持ち悪いことに変わりはない。