2018-01-01から1年間の記事一覧

思い出してもどうにもならないこと

年が明けたらもう2年前のことになってしまう。こんな調子で好きな人のことを考えているうちにすぐ50年とか60年とか経って死ぬんだろうな、という自覚がある。 好きな人も、ほんとうは私のことそんなに嫌いじゃなかったんじゃないか と思うことがある。一緒に…

翌檜

何だったのか未だにわからなくて、永遠に確かめもできないことがある。 好きな人の家のソファーに沈んで、半身に温もりを感じながらぎこちなく座っていた。テレビでは卓球の試合の録画か何かが流れていた。一度立ったらもう同じ場所に戻れない気がして、ただ…

たけのこの里

好きな人が好きだった。どうにもならない恋だった。そもそも彼を知ったきっかけは、彼が私の友人を恋うていることをその友人から聞いたことだった。その気持ちは少なくとも高校を卒業するまで変わらないようだったので、私は負け戦に励んでいたのだ。しかし…

抵抗

抵抗された方が燃える、と聞く。恥じらって隠してるのとかかわいい、みたいな。 嫌がっている人間を無理矢理どうにかする行為には賛同できない。私なりにこの言葉は、自分に向いた相手の行動に何らかのリアクションを取ることは大切だ くらいの意味で捉えて…

永久欠番

現実世界において、私と好きな人のエピソードがこれ以上増えることはない。ここに書けるのは昔あったことと、私の心象と、それだけだ。ただの反省部屋なのだ。 好きな人(固有名詞)を好きな人と呼んでしまう。どうにもならないってわかり続けていても。ほかに…

願望

好きな人が学校を休んだときにいつもする想像があった。 彼が亡くなっている想像だ。 狭めの玄関に色んな種類の靴が溢れて、彼は廊下を左に入った和室に寝かされている。小柄なお母さんが背中を丸めて弔問客に挨拶をしている。独特な家の匂いと香の匂いが混…

靴擦れ

靴擦れが治ってきた。これしか形見がないのに。 昨日のこと、が先週のことになって先月のことになって去年の今頃は、三年前の今頃は、ってどんどん遠ざかっていくのが怖い。私にとってはまだ昨日のことなのに、好きな人はとっくに彼の日常に戻って私の知らな…

生傷

あなたのことも、たまには思い出していたんですよ。ん……? と思った。 大学の近くにあなたの名字と同じ地名があって、そこの体育館をサークル活動で使うことがあったんです。その時くらい。こちとらまだ生傷だぞ……!!好きな人は片時も私の思い出なんかにな…

犬の十戒

映画やドラマの喧嘩のシーンが怖い。キツい声や言葉で相手を威圧するような場面があると心がざわざわしてまともに受け入れられなくなってしまう。 幸いにしていまの生活環境では粗暴な言葉遣いをする人に接する機会が少ない。またすぐ手や足が出るような人も…

宝箱

好きな人との思い出を箱いっぱいに持っている。私の部屋にはダイヤル式のロッカーがあって、その最奥にガムテープで巻かれて、お菓子の箱が眠っている。好きな人との思い出の品、と言ったら普通はプレゼントや揃いのアクセサリーなんかがそうなのだろうか。 …

よかったこと

性について、周りが極端なのでふつうがわからないところがある。 家庭(とくに母親)はえっちなことなんてとんでもない! アニメもマンガもいけません。そのうち保健の授業で習うから。恥ずかしいことです。といった感じだった。 あとは「チューするとき鼻って…

青い光

好きな人と会って、解散した。 事の発端は、長年使っていたガラパゴスケータイを解約することになったところである。連絡を取り合っていたメールアドレスが失われるため、 その前にもう一度会えたら、とメールを送った。 会えない触れない存在から人間に引き…

どうでもよくなってあげたかった

「けっこう時間が経ったのにまだ失恋を引きずっていまして…」 という相談に うんうんわかります、ぼくも高校のころの人とか引きずってますよー! って言おうと思ったらつい3ヵ月くらい前の破局の件だったそうなので何も言わなかったことがある。 引っ越して…

答え合わせ

「婚活に向けて脱毛サロンに通い始める人も多いですよね♪」 そんな文面で、さらっと書いてあったと思う。美容院の待ち時間で同世代の女性向けファッション誌を読んでいたときのことである。 いやいやいや、と心の中で突っ込んでしまった。少なくとも自分の周…

足場

パートナーは光属性の聖人である。 肌荒れちゃうからムダ毛処理しなくてもいいよ、ねぐせついててもかわいいね、ダサいパンツでもだいじょうぶだよ、いつも気を遣うの疲れちゃうもんね、脱いじゃえばおなじだよ… 曰く、いつもしっかりしているお姉さんが自分…

話題

話題の話題である。 高校の頃に出会った人が忘れられずに、数年越しに会いに行っても決着をつけられることもなく呪いを更新され、これはもう好きな人芸人として死ぬまで生きていくんだ、ライフワークのようにどうしようもない恋と共生していくんだ、と思って…

本棚

元恋人のお姉さんが結婚されたと風の便りで聞いた。 お姉さんにご挨拶したことは何度かあるが、初めて出会ったのは本棚だった。 本人不在の、ご自宅の本棚である。 元恋人のつてで落語を聴きに上京した折、お母さまとお姉さんの住むお家に滞在した。 お姉さ…

匂い

匂いは、目で見えたり明確に言い表せたりするものでないぶん、認識の深いところに潜むような気がする。忘れていたはずの記憶や幼いころの思い出が、嗅覚によってふっと新鮮に呼び出されることがある。 数年ぶりに会う好きな人の匂いは、高校の頃から少し変わ…

星の光

「×××くんとは最近どうなの? 連絡取ってる?」 高校の同級生の何気ない言葉に、椅子から転げ落ちそうになった。 卒業してからは連絡取ってないよ。去年学園祭に帰った時に一度見掛けたかな? それくらい。 えー意外。あんなに好きだったのにね。ずっと一緒…

セックスしないと出られない部屋について

セックスしないと出られない部屋という概念がある。 同人や創作界隈のネタ的設定として、閉じ込められたふたりがどうするか…という反応を想像して楽しむというものである。 この部屋はしかし、現実世界で我々を囲いうるものでもある。 古文の問題集で、恋す…