星の光

「×××くんとは最近どうなの? 連絡取ってる?」

高校の同級生の何気ない言葉に、椅子から転げ落ちそうになった。

卒業してからは連絡取ってないよ。去年学園祭に帰った時に一度見掛けたかな? それくらい。

えー意外。あんなに好きだったのにね。ずっと一緒にいたじゃん。

平静を装ってやりとりを凌ぎ、それ以降は彼の話が出ることもなく友人と解散した。

 

 

私たちが見ている星の光は、遠い昔のものだという。いま星が消えても、何年何百年前の光がしばらく届き続ける。普段見ている星の中にも、もう滅んでしまった星があるのかもしれない。

 

今はもうはぐれてしまった私たちは、まだ、誰かの中ではしあわせなワンセットのままなのではないか。誰かの心の中に、あの日の私たちはまだ息づいていられるのではないか。

私にとっては既に無くなった現在と未来に、思いがけず再会した。並行世界のような、高校時代の延長のふたりの可能性がどこかで生きているということ、そのことがひどく温かくしかしどうしようもなく苦しかった。