チケット

あまり自分からばかり相手に会う約束をとりつけたがるのはよくないと思っていて、一度自分から連絡したら、その次は相手からの連絡がない限り会いたいと言わないようにしている。

連絡が来なかったら自分はその人の中でその程度の存在なんだなと、身の程を弁えることができる。優しい人に一方的な思いを向けるのは申し訳ないので。

 

去年の暮れに、好きだった人から連絡があり、大晦日サイゼリヤでティラミスと間違い探しをしばいて解散した。

返事があるかどうかはともかくとして、また連絡していい権利は今自分の手の中にある。

このチケットを握りしめていることに満足して一生が終わるような気持ちもする。

鳴らしはしないけれど人恋しくてナースコールのブザーを握りしめていた入院時代を思い出す。

 

 

 

 

※この文章は2021年11月のもので、チケットはもう手元にありません。